サービス工学に基づくサービスCAD システムの構築（第92報）-アナロジーを用いた創造的サービス設計支援手法

摘要

近年，製造業を中心にサービスに対する注目度が高まっている．このような背景のもと，サービスも製品同様に人工物であると捉え，サービスを「設計対象」として取り扱うサービス工学が提案されている．サービス設計では，既存事例に関する知識の有無が設計の成否，設計解の質，設計効率に大きく影響する．そのため，著者らは，人間の柔軟な思考を支える有力なメカニズムと考えられているアナロジー[2] に基づき，サービス設計知識の再利用を効率化する様々なサービス設計支援ツールと，サービス設計知識の蓄積を行うデータベースの構築を目的とした継続的な研究を行っている．しかしながら，各設計支援ツールにより支援可能なサービス設計中の設計活動の統合的観点に基づく議論は十分でなく，そのため既開発ツールによりどの程度の包括的なサービス設計支援が可能であるのかが明らかにされていない．本研究では，サービス設計に対する包括的な支援を実現することを最終的な目標とする．そのため本報では，サービス工学において提案されている設計プロセス [7]に基づき，既開発ツールにより支援可能な設計プロセス中の設計活動を明らかにすることを目的とする．