実環境のレーザ計測点群内における人間行動シミュレーションとそのアクセシビリティ評価への応用(第1報)－計測点群内における基本歩行シミュレーション機能の開発

摘要

近年，大規模環境における人間行動シミュレーションに関する研究が活発に行われている．人間の動きをコンピュータ上で再現することにより，災害時の避難方法の検討·対策や，商業空間における快適な歩行空間の設計，CGにおける自然な群集動作の生成などが可能となる．さらに，近年の計算機の発達により，3次元空間におけるシミュレーションも可能となった[1]．しかし，これらのシミュレーションのための大規模環境モデルは，実環境の測定結果に基づき人手で構築されるため，詳細形状が忠実に再現されておらず，さらに，環境が大規模になると環境モデル構築のコストが増大する．一方で，設計時のCADデータをそのまま環境モデルとして用いる手法も考えられるが，設計時のCADデータはas-built環境を正確に反映していないという問題がある．一方で，近年3次元レーザ計測機により，大規模なas-built環境を3次元点群として低コストに計測することが可能となった．そこで本研究では，3次元レーザ計測機より得られた計測点群を用いることにより，人間行動シミュレーションのための大規模環境モデルを高精度かつ低コストに自動構築する技術を実現する．さらに本研究では，人間行動シミュレーションを用いた実環境のアクセシビリティ評価手法を開発する．環境における人間や群集の動きを再現することにより，利用状況に即した環境の定量的なアクセシビリティ評価[2]が可能となる．本報では，環境の歩行容易性などのEfficiency評価のための身体動作シミュレーションの開発を目的とし，屋内環境の計測点群内におけるコンピュータマネキンの基本歩行シミュレーション機能(図1)を開発したので報告する．