SPring-8放射光を用いたX線イメージングによるメタリック塗装の塗膜形成過程観察手法

摘要

当社では樹脂外板採用の拡大に伴い，車体とフェンダー，バンパー等の樹脂外板部品の塗色の色合わせが重要［1］となっており，特にメタリック塗色では色合わせに対し，多大な生産準備工数を掛けている．これは，樹脂外板部品と車体との色合わせを行う上で，被塗装物素材及び塗料，塗装系が異なり，別工程で塗装している事に起因する．従来から，車体と樹脂部品との色合わせは，塗装生産準備担当者と塗料メーカの度重なるトライによって塗装品質を造り込hでいるという状況がある（図1，図2）．これに対し当社では3年前に樹脂外板採用対応として，塗装条件と色の関係について膨大な実験を行い，メタリック塗装の色合わせについて様々な塗装条件との塗色の因果関係をある程度把握することができた．メタリック塗装では，塗膜に含まれるアルミフレークの並び方（配向）が塗色の明度に関係［2］しているが，塗膜形成過程中のアルミフレークの配向現象については，推定による議論に留まっている．これに対し科学的なアプローチを進めるべく，SPring-8 放射光のX線イメージングを活用することで，塗装中の塗膜形成過程を直接観察することに成功した．