シリンダーなじみ過程におけるピストンリング潤滑状態の解析－IP(CrN)表面処理ピストンリングとプラトーホーニングライナーが潤滑状態へ与える影響

摘要

シリンダーとしゅう動するピストンリング（以下リング）外周の形状は，ガス漏れ抑止等の機能を考慮して設計される．従って，しゅう動時におけるリンダ外周摩耗は，外周の形状を初期形状から変化させるため，意図した機能の低下をまねくことが多い、最悪の場合はエンジンが運転不能となる恐れがあることから，リンダ外周摩耗とエンジン性能の関係については，様々な報告がなされている．一方で，燃費に影響するリング摩擦力は，摩耗との関係が十分に解明されていないように思われる．摩擦力ましゅう動部の形状に影響を受けており，摩耗が発生することで摩擦力が変化すると予想される．リンダ外周摩耗は「初期なじみ域」と「定常運転域」の双方で発生し，摩耗の形態は異なる．初期なじみ域の摩耗量は，定常運転域に比べて短時間であるため少ないが，各しゅう動部の軽度が温く摩耗率が大きい．本研究は，比較的短時間でリンダ外周が摩耗する初期なじみ域において，リング外周摩耗状態と摩擦力の関係について解析を行った．またっ初期なじみ域のピストン系潤滑状態についてもあわせて解析を行った．本報告では，これら評価結果と解析結果を報告する．