パルス放電照射によるテレフタル酸分解(2): 副生成物の詳細分析

摘要

放電プラズマを水に照射することで水中に生成されるReactive Oxygen SpeciesおよびReactive Nitrogen Species (ROS/RNS)は殺菌や植物の成長促進に寄与することが報告されている。それらに寄与するROS/RNS の種類や濃度は用途により異なるため， ROS/RNSの生成を適切に制御する必要があり，著者らは，水中の酸解離平衡と化学反応に基づく反応レートを計算することで長寿命の ROS/RNS の濃度を予測可能であることを示した。しかし，前述の用途や反応レートの正確な計算においては，OH ラジカルなどの短寿命種も重要であり，その生成レートの把握が必要であることから，著者らは，テレフタル酸(TA: Tere-phthalic acid,C_6H_4(COOH)_2)を用いた化学プローブ法により，水上パルス放電を照射したときのOHラジカルの生成レートの推定を行っている。