平安時代中期の内裏における御簾の使用法: 「如在禮」

摘要

平安宮内裏殿舎において、御簾は内と外ないし天皇と臣下の仕切りとして、心神の清浄を保つための結界として、さらに病や喪に服す者の謹慎の行為を示すものとして、効果的に使用されていた。平安時代前期には、御簾の使用についての明確な記録はあまり残存していないが、平安時代中期の朱雀天皇の時代において、天皇や摂関、および公卿の日記に、御簾の使用法について頻りに記録されるようになる。朱雀天皇の時代には、上記に挙げたようなー般的に知られている御簾の使用が盛んになっていくばかりでなく、「如在禮」という新たな使用法が生み出されている。