FDTD法におけるサブグリッド法の空間補間に関する研究

摘要

現在、携帯電話など移動端末の利用が非常に普及しており、また人体を通信路とする人体通信技術が盛んとなっている。しかし人体とアンテナが近いことで人体曝露、アンテナ特性への影響が生じる。そこで数値シミュレーションを行い、検討が必要となるが、人体モデルと微細なアンテナモデルを同時にシミュレーションする際、微細なモデルに合わせて計算を行う必要があるが、莫大な計算時間、計算量が必要となってしまう。そこで２つのスケールを同時にかつ効率的に解く手法が必要となり、その一手法がサブグリッド法である。しかし同時にシミュレーションする際、セルサイズが変わる境界上で不安定になり、発散してしまう。　本論文では、アンテナなど誘電体が配置された場合、発散時間にどのような影響があるか検討を行っている。数値計算手法として、２次元FDTD法を用いて、単純平均化での空間補間のみ行うサブグリッドを導入して解析を行う。第２章では本研究で使用するFDTD法による空間補間のみのサブグリッド法の基礎として、２次元FDTD法の定式化、空間補間のみのサブグリッド法の電磁界の配置、更新過程について述べる。第３章では誘電体を配置した場合の発散時間について、比誘電率、サブグリッド領域の配置を変えて検討を行う。最後に第４章では結論を述べる。　本研究の結果、誘電体を固定し、サブグリッド領域を移動させた場合、領域内に誘電体を含む大きさが一番小さい時、発散時間が遅くなり、誘電体を含まない時、比誘電率に関係なく、発散時間は一定となった。またサブグリッド領域内に誘電体を配置した場合、電流源、解析領域端からの距離がλ以下に配置したとき、比誘電率に関係なく、発散時間が早くなることが分かった。　以上より、真空中においては電流源からの位置のみ影響を受けたが、誘電体が配置された場合、サブグリッド領域に含まれた誘電体の大きさ、電流源からの距離、解析領域端からの距離により発散時間に影響を与えるという知見が得られた。