大型計算機を用いたキャビテーション流れ解析の現状

摘要

高速液流中に不可避的に発生するキャビテーションは，今もって流体機械の信頼性に関わる特異な現象であり，多くの研究が行われている．そもそも，キャビテーションとは，液単相中の低圧場に気相あるいは気液混相（キャビティと呼ぶ）が発生する現象であり，非定常な振る舞いをするキャビティと液流とが複雑に干渉する流れと考えられる．これまで，その発生形態に対応する初生則や渦，流れ，核などの支配因子の影響が明らかにされてきた．しかしながら，それらの詳細については，まだ未解明の部分が残されている．上記のようなキャビテーション流れの特性およびメカニズムの詳細な解明のために，実験では得がたいキャビテーション流れの情報を，大型計算機を用いた数値解析によって得ようとする試みが10年ほど前から進められている．以上のような状況を踏まえ，ここでは，特に数値流体力学の分野におけるキャビテーション研究の最近の動向を紹介し，さらに著者らが提案する数値解析手法による最新の計算結果をどを紹介する．