真の信頼·安心社会構築に向けて：エネルギー政策の旗艦「原子力丸」の構造解体図

摘要

東京電力の原子力発電所自主点検データ不正記載問題は他電力にも飛び火，"東電ショック"となって国民の原子力に対する信頼を大きく揺るがすとともに，原子力政策そのものの見直しを求める声も高まっている。 今回の事件は，原子力発電所の安全上問題はないとの見解で一致している点に最大の救いがあるが，失われた信頼を回復するのは容易でない。日本は戦後，原子力基本法が制定されてから約50年，東海村に最初の原子力の灯がともってから約40年を経て，原子力は今や総発電電力量の約35％を占めるばかりか，資源小国日本のエネルギー安全保障および地球温暖化防止対策（CO{sub}2削減）の切り札として重要性を増し，不可欠の存在となっている。 原子力は牛肉やハムのように簡単に他製品に乗り換えられず，ただ「止めてしまえ」では日常生活への直接的影響が深刻となるだけに，国会，国民の間で十二分な議論が必要だ。