脾臓摘出術後に高グロプリン血症の改善が認められた犬のリンパ形質細胞性リンパ腫

摘要

リンパ球系腫瘍の腫瘍随伴症候群の1つである過粘稠度症 候群は，血液粘稠度の増加により末梢の血液循環障害を生じ る病態である。腫瘍細胞により異常免疫グロプリンが産生さ れ単クローン性高グロプリン血症（モノクローナルガンモパ シー）を呈し，腎不全,心不全，止血異常，神経症状などの臨床 徴候が認められる。十分な静脈輸液により希釈し支持療法を 併用したうえで化学療法にて治療するが，過粘稠度症候群の 臨床症状が重篤で輸液による希釈効果も認められずコント ロール困難な例もある。化学療法導入前の応急処置として血 漿交換療法が挙げられるが，血液成分分離装置を導入するな ど成分輸血の可能な施設は獣医療では限られており,実施例 の報告は少ない。