都市公園の水と水辺の今日的課題

摘要

古来,名園と呼ばれる庭園には，池や流れなど水辺を備えたものが多い。屋敷内に池を掘り,島を築き，理想の風景を創造しようとする試みは，わが国の庭園起源のひとつとされ，池の水面に映える月を愛で，流れ下る紅葉の風情を楽しむ美学が，奈良,平安のいにしえより，日本人の心に育まれてきた。 明治の治世には，公共造園に西洋的デザインが取り入れられ，日本的な心字池や滝組に代わり，シンメトリックな池やカスケード，噴水が都市公園に登場するようになるが,日本的デザインにせよ，西洋的デザインにせよ，水あるいは水辺は，レクリエーション空間たる都市公園において主役とも呼べる存在であり，現在においてもその座をあけわたしてはいない。