(その18)フナクイムシによる木材の劣化

摘要

筆者の職場は東京湾ロ部の久里浜にあり，自然 海水を用いた海水循環水槽で，コンクリートなど の海洋土木材料の耐久性試験が行われています。 筆者はこの水槽に1997年3月に初めて木材（集成 材）の試験体（10cm x10cm x190cm)を入れ. 2年半後に曲げ試験をしたところ，強度がほぼ0 になっており，切断面にはフナクイムシによる多 数の穿孔が見られました（写真1)。写真2は，昨年5月から10月まで海水循環水槽 に入れていたエゾマッから採取したフナクイムシ です。フナクイムシはギザギザのある貝殻をねじり回転させ て木を削 り，木を食料 兼住居として います。入水 管から取り込 むプランクト ンも栄養源と し，出水管か らは排泄物 と，精子.卵 子または幼生 を放出し ます。尾 栓は水管 を引っ込 めたあと 孔ロをふ さぐのに 使われまフナクイ ムシの種 によって 異なり， 同定に用 いられま す。ニ枚 貝綱ニオ ガイ目フナクイムシ科の生物として，これまでに約70種が同 定されています。