因島大橋ハンガーロープの腐食状況調査

摘要

因島大橋は本州四国連絡橋の吊橋の中で，最初に供用開始（1983）した．本橋のハンガーロープ（以下，ハンガー）は，吊橋のハンガーに多用されているCFRC（Center Fit Rope Core）ロープで，主ケーブルに鞍掛けされ，桁にソケットで定着されている．ハンガーは，主ケーブルに吊り構造等の荷重を伝達するための重要な構造部材の一つである． これまでは，ハンガーのような太径ロープの健全度を評価する有効な検査手法がなく，健全度評価は目視による外観検査を行っていた．平成9年ごろより，ハンガー定着部近傍から，赤錆を含んだ錆汁の滲み出しや，表面に赤錆の発生が確認された，これを踏まえ，平成11年度にハンガー内部の腐食状態を確認することを目的に，ハンガーを取り外して開放調査を実施した．また併せて，ハンガー内部の腐食状況を定量的に把握するために，全磁束法による非破壊検査手法の開発に取り組んできた． ここでは，供用後20年が経過したハンガーの開放調査結果および全磁束法非彼壊検査により得られた因島大橋ハンガーの腐食状況について報告する．