フリーズ劣化を対象とした映像品質客観評価法に関する検討

摘要

ネットワークの広帯域化に伴い，映像コミュニケーション·映像配信サービス等の映像通信サービスが普及し始めている．このような映像通信サービスを適切な品質で提供するには，ユーザが体感する映像品質を定量化し，これに基づいたネットワークやシステム設計を行うことに加え，適切なサービスの運用·管理が重要である．現在，ユーザの体感品質の定量化は主観評価法で行うのが基本だが，莫大な時間·労力を必要とし，リアルタイム性が要求される実サービスの運用·管理に適用することは難しい．そこで映像の物理特徴量から映像品質を簡易かつ迅速に推定する客観評価技術の確立が求められている．映像に発生する劣化は，大きく分けて空間系劣化と時間系劣化が存在する．空間系劣化を対象とした客観評価法については比較的多くの検討が進められている．しかしネットワーク劣化により生じ，ユーザ体感品質に大きな影響を与える時間系劣化についての検討はあまり行われていない．本稿では，時間系劣化（フリーズ）を対象とした映像品質客観評価法の検討結果を述べる．客観評価法のコンセプトとして，フリーズ総継続時間を1回発生したフリーズの継続時間に置換させる手法を用いた．各フリーズ継続時間の総和を等価的にフリーズ1回の継続時間とする具体的なアルゴリズムを提案し，更にフリーズ劣化が認識しにくい領域を考慮して映像品質推定を行うアルゴリズムを提案した．その有効性を確認するために検証を行った結果，高い推定精度を達成できることを確認した．