CFDによるクリーンルーム汚染制御の動向と今後：クリーンルーム関連分野でのCFD活用事例と技術動向

摘要

ここ数年、学会等におけるクリーンルーム関連の話題は化学汚染に集中しており、気流制御や粒子汚染に関する話題はすっかり影を潜めてしまった感がある。 しかしこれらの技術は、現在もクリーンルームを支える重要な要素技術のひとつであり、実際、稼働中のクリーンルームで発生するトラブルには、気流状態の不備や粒子汚染に起因するものが意外と多い。 これらのトラブルは、多くの場合、作業方法の改善や気流対策により解決できるが、その対策には定石といえる一般論が少なく、考えられる要因をひとつひとつつぶしていくといった地道な作業の積み重ねが必要である。 CFD（Computational Fluid Dynamics：数値流体力学）技術の応用は、このような汚染対策の検討に有効な手段を提供してくれる。CFDによる気流解析、汚染物質拡散解析は、計画や対策の検討段階で事前に実施でき、トラブルの発生を未然に防いで適切な対策を行うことが可能となる。 また、解析結果をコンピュータグラフィックスにより可視化することで啓蒙的な用途にも適用できるなど、CFDは多くの利点を有している。 本稿では、クリーンルームへのCFD技術適用の現状と今後の技術課題について示す。