第一級アミノ酸およびその塩を用いた触媒的不斉合成

摘要

単純な酸触媒や塩基触媒を除いて，有機合成に用いられる触媒としては，その高い触媒活性と反応の多様性から遷移金属錯体が主流であり，これをなくして今日の化学産業が成り立たないことは自明の理である。一方，分子量の小さな有機化合物を触媒として用いる有機触媒反応は，一般的に触媒が空気や湿気に対して安定なために，大気中で取り扱えるなど操作が容易であり，自身の毒性が低いという特長を有しており，実験室レベルの小規模な有機合成から工業的な利用まで幅広く関心が寄せられている。