ハリコンドリン類の実用的合成研究

摘要

ハリコンドリンB（りは，1985年に上村らによって単離·構造決定されたポリエーテルマクロリドであり，強力な抗腫瘍活性を示す。 1の合成研究は多くの研究者によって展開されたが，1992年に岸らによる全合成が報告されているのみである。一方，NCIおよびエーザイにおいて1の合成中間体の生物活性評価を行ったところ，1の活性部位は1の右半分である2であることを見出した。 岸とエーザイらは2をリード化合物として，構造活性相関研究を行い，生体内での安定性が高く水溶性が向上したマクロ環状ケトン体：E7389（3）を設計した。 3はin vitroにおいでも強力な抗腫瘍活性を示し，現在実用化段階に入っている。