突合せ多層溶接継手における残留応力 分布の実測技術と解析の妥当性検証

摘要

船舶や建築などの大型建造物には厚板が使用されてお り.多層溶接が行われている。継手強度や耐久性を検討 するために溶接部の残留応力を把握する必要があるが， 板厚内部まで測定可能な計測方法は多くない。とくに50 mm以上の厚板を実測する場合，ひずみゲージ切断法や 中性子回折法，深穴穿孔法（Deep Hole Drilling.以下 DHD法)1)に限られる。また，多層溶接では各層での溶 接における熱?応力の相互影響が複雑なため，溶接部の 残留応力予測も困難となっている。溶接プロセスを再現 するため，移動熱源を用いた非定常熱伝導解析や熱弾塑 性解析を行わなければならない。溶接過渡熱応力の熱弾 塑性解析では.静的陰解法有限要素法が一般に利用され ている。しかし，計算モデルの規模が大きくなるにつ れ，陰解法の計算時間や必要なメモリが非線形に増える 課題がある。大規模な多層溶接熱弾塑性解析の計算時間 を短縮するために，村川ら 柴原ら 麻らによ り，それぞれISM陰解法，理想化陽解法（IEFEM),加 速陽解法（ACEXP)が提案されている。