シャノン情報理論へのいくつかの疑問－情報理論を学際的解析ツールとして使った経験から

摘要

クロード·シャノン（1916-2001）は情報理論に独自の概念（エントロピー，冗長，確率，量子化など）を提示したことで，情報理論研究者の思考枠組みを規定した．その一方で，シャノンは彼がどのようにして情報理論やリレースイッチ回路によるブール演算を思いついたか明らかにしなかった．情報理論研究者は，情報理論の起源神話を知らないまま，シャノンの業績に賛辞を送っているのではないか．筆者は，言語のメカニズムを解明するにあたって，シャノンの「一般的な通信システム」図を解析ツールとして用いたが，その際にいくつかの疑問を抱いたので，本研究会に報告し，検討をお願いする次第である．