垂直スパイラル型地中熱交換器の温度予測モデルの精度向上の検討と実導入事例との比較による精度検証

摘要

近年、再生可能エネルギーの一つとして地中熱ヒートポンプシステム(以下GSHP)システムが日本でも注目されているものの、地中熱交換器(以下GHEX)の設置コストの削減が未だに大きな課題となっている。設置コストの削減の方法としては小規模建物であれば、配電工事用建柱車を活用した垂直スパイラル型地中熱交換器（VSGHEX）の設置が有効であると考えられる。近年ではGHEX の設置方法の標準化や熱交換器(螺旋状コイル)の汎用化も進められ、これら技術を活用することにより今後十分なコスト競争力を持つGSHP システムが確立されることが期待される。一方でVSGHEX については、深度4～20 m 程度の浅層土壌を利用し、かつ口径が数百mm になる螺旋状コイルを用いるため、地表面の影響とボアホール内部の熱容量を考慮したGHEX の設計·性能予測手法が求められている。本論文ではまず、既報[1]で開発されたVSGHEX の計算モデルの精度を向上させることを試みた。次にVSGHEX を用いた地中熱ヒートポンプシステムの実測を行い、VSGHEX の性能を評価すると共に、実測値と計算値の比較を行い、計算モデルの精度を検証した。最後にそのモデルを用いてケーススタディを行い、東北の住宅におけるVSGHEX 必要本数の検討を行った。