デシカントローターを搭載した水熱源ヒートポンプによる空調システムの開発

摘要

業務用ビルの空調設備での大幅なエネルギー消費の削減には，空調機器単体の性能向上に加えて，再生可能エネルギーの導入や未利用エネルギーの活用が必要である．このような熱エネルギーを多量に空調設備·システムに投入·利用するための熱媒体としては，フロン冷媒よりもハンドリングが容易で拡張性の高い，熱源水が相応しいと考える．そこで筆者らは，Fig.1 に示すような水熱源ネットワーク型潜熱顕熱分離·個別分散空調システムの開発を目指してきた．本システムは水熱源の利点を最大限に活かし，潜熱と顕熱の分離と熱源水の流量·温度最適制御によって高効率な空調システムを実現し，また再生可能熱エネルギー（地中熱，太陽熱等），廃熱（CGS，燃料電池等），大気熱（冷却塔等）の高度利用を組み合わせ，さらには部屋間·建物間での熱融通等により，究極的な個別分散型のZEB を実現するものである．このシステムを実現するために，まずは低温再生デシカントローターを採用した水熱源ヒートポンプ式の外気処理ユニットを開発し上市した[1]．