SIPサーバへの仮想化技術の適用に関する評価

摘要

ブロードバンド通信市場の拡大により，キャリアは継続的なCAPEX／OPEXの削減を要求されている．1982年に導入されたデジタル交換機は，そのシステム全てが独自のハードウェア／ソフトウェアで構築され，ハードウェアを含めた特有の開発／維持管理技術が必要であった．しかし，安価で品質の高い通信サービス提供のため，通信システムにおける交換機や電話系SIPサーバはハードウェア／ソフトウェアの両面で低廉化を進めるべぐ，ハードウェアに関しては，汎用CPUの採用や通信業界標準のATCA（Advanced Telecom Computing Architecture）規格を推進し，ソフトウェアに関しては通信システム用の標準OSとなるべくIROS（Interface for Realtime Operating System）の開発／標準化の推進や汎用OSであるLinuxの採用により開発／維持管理コストの低廉化を進めてきた．NGN（Next Generation Network）においてもIAサーバ等の汎用ハードウェアの適用，仮想化やNFV（Network Functions Virtualization）等の適用を進めていく必要がある．しかし，ハードウェア／ソフトウェアの汎用化は，信頼性の低下が懸念される．本稿では，汎用ハードウェアの適用による不稼働時間の増加に対して，サーバリソースを柔軟に活用可能な仮想化技術を用いて，故障復旧時間を短縮することで不稼働時間の短縮を検討する．また，仮想化技術を用いた故障復旧方法を提案し，実機測定を行い，検討した結果を示す．