レーザーフォーカス変位計を用いたマイクロチャンネル内液膜界面測定システム

摘要

近年，核融合炉ダイバイターおよび高出力電子機器の冷却等に関連して，マイクロチャネル内の気液二相流研究が活発に行われている．これまで，多くの実験的研究により，マイクロチャンネル内の流動様式，気液速度，ポイド率及び圧力損失などの知見が得られてきた．ここで，環状流及びスラグ流域における管内壁面液膜は，マイクロチャンネル内における流動および熱伝達の重要な支配因子の1つである．最近の報告によれば，マイクロチャンネル内の気液二相流動は，薄い液膜の存在の有無により大きく影響を受けるとされている［1］．従って，マイクロチャンネル内を対象とした二相流解析モデルを高精度に構築するためには，気液界面構造を詳細かつ高精度に捉えることが不可欠となる．流路構造が小さいほど液膜の局所変動や波の挙動をより厳密に評価する必要があるが，どこまでこれらの諸物理値を微視的に扱えるかという問題は，計測機器性能に依存するところが大きい．液膜の流動特性を評価するため，これまでにレーザーを用いた可視化技術，また電気抵抗法及び静電容量法などの電気的手法や，超音波計測法などが用いられてきた．これらの手法は各測定対象に応じた優位点をそれぞれに有しているが，流れに付加的な擾乱を与える，空間精度を低下させるなど，マイクロチャンネル内のようなよりミクロな流動を対象とする場合には，いくつかの問題がある．従って，優れた時間·空間分解能を有し，かつ，非接触による詳細で精微な測定を可能にする測定手法の開発が，マイクロチャンネルを対象とした二相流研究において重要な課題であると言える．