車両にあけるエネルギー蓄積とキャパシタ·バッテリ：鉄道車両におけるエネルギー蓄積

摘要

現在，環境に対する技術への要求は増大する一方である．環境問題がクローズアップされる中で，省エネルギー化は1つの大きな柱である．鉄道事業の中で最もエネルギー消費の大きな“車両運行エネルギー”低減化は，省エネルギー化の最も有効な方策である．従来から，鉄道は他の交通機関に較べて小さな走行抵抗による少ないエネルギー損失が売りであったし，最近になってようやく電気自動車などで盛hに言われ始めた"ブレーキ時の電力回生"といった事柄も，電化区間では30年以上も前から実用化されていた．特に，電力回生については，電気車が架線を媒介に他電気車とパワーを融通できるという特性に負うことができたのが，早くから実用化できた要因である．自車の走行用燃料を自己搭載する必要がないので軽量化でき，架線から任意の時点で比較的任意にパワーを取れる優れた特性を持っていることが電気車の最大の強みであった．言換えれば，電気車は架線という電源に繋がった，移動するフライホイール装置そのものである．このような優れた特性を持つ"架線システム"を持ちながら，なぜ今“車載エネルギー蓄積”が必要なのか，車載エネルギー蓄積を行なうことのメリットとデメリットは何か，またその可能性や最近の技術動向がどのようなものかについて，簡単に紹介することとする．