促通反復療法に基づく片麻痺膝関節屈曲機能回復訓練装置の開発

摘要

日本では近年，脳卒中による後遺症を患っている有病者数は約300万人と言われている［1］．医療の発達により死亡率は減少しているが，後遺症のため要介護者数は増加している傾向にあり，中でも代表的な後遺症である片麻痺は寝たきりの原因第1位となっている．片麻痺患者は麻痺肢の個々の関節を動作させようとしても目的の関節以外も動作してしまい，正常な動作は行えないことが多々ある．このように個々の関節運動を分離することができない運動を共同運動と呼び，これを解消するために個々の関節について分離運動の訓練を行うことはリハビリ訓練に非常に重要である．そこで，脳には損傷を受けた部分を他の部分が代替わりする働き「脳の可塑性」が存在することから，脳の可塑性を用いたリハビリ訓練法である促通反復療法により片麻痺治療を有効に行っている［2］～［5］．