連載：エスノグラフィの技術経営への応用展開 第3回：行動形成に影響を与える組織に内在する方法の分析－エスノグラフィ的手法による製造企業の信頼性の向上のための組織品質マネジメント

摘要

世界をリードする日本の製造業が築き上げてきたはずの品質が、崩れ始めている。日本の製造業は、グローバル化によりコスト競争力が低下しても、新興国に負けないよう生産性を一層高めながら技術経営に取り組hできた。その一方で、1兆円を超える負債が生じ製造業において戦後最大の経営破綻に至ったタカタ製エアバックのリコールをはじめ、日本の製造企業による品質に関する問題が度々報じられるようになった。製造技術の高度複雑化に伴い製品も複雑化し、従来通りの製品品質の作り込みだけでは品質を維持できないという課題がある。本研究では、先ず、直近の2017年に報じられた日本の製造業における品質問題を取り上げ、それらの特徴について整理を行った。次に、前述の品質問題の報告書等における言説（言い表し方や書き方）に基づき、品質マネジメントについて分析した。最後に、市場競争のグローバル化に対応するための従来の品質マネジメントに補足すベき手法を検討し提案した。