高速フェージング通信路における正規化BP-basedアルゴリズム及びオフセットBP-basedアルゴリズムの特性解析

摘要

近年，低密度パリティ検査（LDPC）符号の復号アルゴリズムとして，BPアルゴリズムを基にした様々な復号アルゴリズムが提案されている．その中でも低複雑度な復号アルゴリズムに，UMP BP-basedアルゴリズム，正規化BP-basedアルゴリズム，オフセットBP-basedアルゴリズムがある．UMPBP-basedアルゴリズムは，BPアルゴリズムにおける尤度の計算を近似して行う繰り返し復号アルゴリズムである．正規化BP-basedアルゴリズム及びオフセットBPーbasedアルゴリズムは，UMPBP-basedアルゴリズムにおける近似された尤度を，それぞれ正規化及び減算することで，尤度の精度を上げる繰り返し復号アルゴリズムである．UMPBP-basedアルゴリズム，正規化BP-basedアルゴリズム，オフセットBP-basedアルゴリズムは，低複雑度で通信路情報を必要としないという特徴から，移動体通信への適用が期待されている．LDPC符号の特性を解析する方法に，Density Evolution（DE）や，DEを容易に実行するガウス近似法（GA）がある．しかし，移動体通信路におけるUMPBP-basedアルゴリズム，正規化BP-basedアルゴリズム，オフセットBP-basedアルゴリズムの理論的な特性解析は行われていない．本稿では，高速フェージング通信路における正規化BP-basedアルゴリズム，オフセットBP-basedアルゴリズム，UMPBP-basedアルゴリズムの特性を，DE及びGAを用いて解析する．また，DE及びGAによって得られた闇値から，高速フェージング通信路における正規化BP-basedアルゴリズムの正規化因子及びオフセットBP-basedアルゴリズムのオフセット値の最適値を導出する．