D N Aヮクチンによる感染症予防法カンパチのノカルジァ症に対するワクチン開発

摘要

Jれまでの研究生活を振り返つても、あれほど劇的な研究結果にめぐり合えたことはなかつたよ、つに思、つ。2008年の秋、筆者は近畿大学水産研究所との共同研究で、同研究所白浜実験場でノカルジァ症{Nocardia se-riolae}に対する試作DNAワクチンの有効性試験に臨hでいた。対照区の力ンパチが次々とノカルジァ症で死hでいくのに対し、試作のDNAワクチンを接種した試験区ではほとhど死亡は見られなかった(図1)。また、対照区のカンパチでは脾臓の肥大化や結節の形成が見られたが、DNAワクチン接種区の脾臓には何の変化も見られなかった(図2)。開発が難しいとされていたノカルジァ症に対する有効性の.Hいワクチンを開発できた、Jとに大きな喜びを感じた=。水産用ワクチンが使用され始めてから、水産増養殖分野における魚病被害額は以前の半分以下に抑えられるようになった。しかし、いまだワクチンが開発されていない感染症も多く、近年ではそれらの感染症が養殖生産量の主な減耗要因となっている。本稿では、水産用ワクチン開発に対する新たな取り組みを中心に、技術の基盤となる魚類の免疫メカニズムや今後の水産用ヮクチンの課題について取り上げる。