トマト青枯病防除と施肥管理 一高接ぎ木法と組み合わせる施肥法一

摘要

トマトは年間生産額約2，000億円、米に次 いで第2位の生産額を誇る重要作物であり、 リコピン、ビタミンC等の機能性成分を含む 食品としても注目を集めている。現在、トマ ト栽培は産地化、施設化が進み、それに伴う 連作により、青枯病、かいよう病、褐色根腐 病（コルキルート）や根腐萎凋病等の土壌伝 染性病害（土壌病害）が発生し、トマトの安 定生産にとって大きな問題となっている。中 でも植物病原細菌ラルストニアソラナセア ラムにより引き起こされる青枯病は施設栽 培の3割で発病し、年間被害額は200億円以上と試算されている（日経産業新聞，1995)。 本病は最初一部の葉が急に萎れ、夜間や曇天 時には回復するが、数日後、株全体が萎凋し て枯死する（図1)。また、青枯病菌は圃場 の深層部にも存在するため、土壌くh蒸剤等 の土壌消毒によっても本病の発生を抑えるこ とは困難である。このような状況下で抵抗性 の台木品種を用いた接ぎ木栽培が効果のある 防除法として広く普及している。しかし近年、 従来の慣行接ぎ木を用いても青枯病の被害を 回避できないことが多く、より防除効果の高 い技術の開発が求められている（野菜茶業研 究所，2011)。本稿では、新たに開発した“接 ぎ木の抵抗性を強化した「高接ぎ木法を核と したトマト青枯病総合防除技術」”（中保ら， 2012)について紹介するとともに、持続的な 青枯病防除を実現するため高接ぎ木法と組み 合わせ可能な施肥法について述べる。