情報視認性向上のための光学シースルーHMDにおけるバックライト輝度の自動調整

摘要

光学シースルーヘッドマウントディスプレイ（Optical See-through Head Mounted Display，OST-HMD）では，デジタル情報をユーザの視界と重ねて表示する．そのため，ディスプレイと実環境との明るさの不釣合いにより，ディスプレイまたは実環境の視認性が低下する．本研究では，ディスプレイ及び実環境の情報視認性の向上を目的とし，ユーザの視認性評価に基づいたディスプレイバックライト輝度の自動調整手法を提案する．提案手法ではユーザによる視認性実験を行い，まず，異なる明るさの実環境において異なるバックライト輝度のディスプレイを表示させ，ユーザに視認性について評価させる．得られた視認性評価データに対し回帰分析を行い，実環境の明度，ディスプレイ輝度及び視認性評価の相関関係をモデル化し，視認性評価に対する予測式を求める．予測式を用いてバックライト輝度値を調整し，任意の明るさの実環境における情報の視認性を調節する．実験の結果，決定係数R~2＝0.8833 の高い精度で視認性の予測式を求めることができた．しかしながら，大きく予測が外れる場合も見られ，さらなる改善のためには，色相情報をも扱えるより精密な視認性評価モデルの構築が必要であることが示唆された．