連続分布に基づき符号語が生成される電子指紋符号の容量の下界について

摘要

電子指紋符号は，ライセンスのあるディジタルコンテンツの不正流出を抑止するためにコンテンツ中に埋め込まれる符号であり，通常複数の不正者が結託して海賊版コンテンツを生成した場合に不正者の一部または全員を高い確率で特定することが求められる．本稿では，不正者数および不正者の攻撃モデルが公平かつ既知という条件のもとで，電子指紋符号がある種の連続型の確率分布に基づいてランダムに生成されるときの電子指紋符号の容量の下界を導出する．得られた下界は相互情報量の連続分布に関する期待値を用いて表される．下界の導出のための不正者特定器は，Laarhoven［13］が用いたスコア関数に基づく方式を多ステップに拡張したものになっている．