光に応答する多孔体

摘要

ナノメ一トルサィズの細孔を無数にもっ多孔性物質は,ガス分子などの小分子を効率ょく分離したり,除去したりする機能性物質として古くから私たちの身の回りで活躍している材料である.金属ィオンと有機配位子を組み合わせて合成される「多孔性金属錯体(PCP : Porous Coordination Polymer または MOF : Metal-Organic Framework) J と呼ばれる多孔性物質の開発においては,配位結合の多様性を活かし,分子レベルで細孔の大きさや形状,化学的性質をさまざまに設計し合成できるため,加速度的に研究開発が進hでいる.MOFが他の物質と比較してュニ一クな点は,結晶性でありながら,外部環境の変化や刺激に応じて柔軟にそれらの構造を変化させ,特異な細孔機能を発現する点である.筆者らは能動的な機能制御を目的とし,光応答性細孔の開発に取り組hできた.光応答性細孔の合成戦略はいたってシンプルであり,光反応性を有する有機配位子を用いて PCP/MOF合成を行うというものである.一般的な多孔性固体の細孔機能は,細孔のサィズ?形状?容量おょび細孔表面の化学的性質にょってあらかじめ決まっており,通常それらを外部から制御することは困難であるのとは対照的である.以下,用いた光反応の種類ごとに分類し,筆者らの研究成果を紹介する.