創立125周年記念特集:構造地質学の最近25年の成果と今後の展開(その1)

摘要

構造地質学に関連する地球科学の研究分野では,近年,地質学的研究,地球物理学的観測,室内実験,および数値モデリングを含む学際的研究が急速に進hでいる.たとえば,地震波トモグラフイ一などの地球物理学的観測精度が飛躍的に上昇し,それによって得られる情報(Vp, Vs, Vp/Vs比,減衰,比抵抗,反射地震断面図など)を地質学的情報(地質構造,鉱物組成,流体やメルトの分布など)に読み替えるために,さまざまな実験やそれに基づく数値モデリングが行われている.また,現行過程だけでなく,様々な空間スヶ一ル,時間スヶ一ルでテクトニクスやそれに関係する諸過程を理解することを目指して,付加体や衝突帯などの地質調査や岩石試料の物理化学的分析が実施されている.現在は,このような新しい研究手法が開発され,その具体的な応用が始まった段階であり,今後,様々な成果が得られるものと期待される.このような現状において,これまでの成果を整理し,今後の発展を展望することは大変有意義であると思われる.このような視点に基づいて,最近25年の構造地質学に関連する分野の特集を企画した.本号はその1として,5編の総説からなる(本特集の「その2」は来年半ばに刊行予定).