メタ分子からなるメタ表面を用いた多波長動作?偏光無依存レンズ

摘要

波長以下の微小な構造体（メタ原子）を基板上に配置したメタ表面は，きわめて薄型の波面成形素子として注目されている.一方で，メタ表面は多くの場合回折光学素子としての性質をもっため，単一波長における動作に最適化されており，設計波長と異なる波長では機能しないという欠点があった.著者らは新しいメタ表面構造を提案し， 915nmと1550nmの2波長におけるレンズ動作を報告している.従来のメ夕表面レンズでは，ナノ ロッドを六方格子状に配置し，その径を徐々に変化させることで放物状の位相プロフアイルを得ていた.これに対し，著者らは異なる径（図中D_1, D_2）をもっ2種類のナノロッドが計4本配置された単位格子を採用し，2種類のナノロッドの径を変化させることで，2波長動作を実現した.すなわち，複数のメタ原子からなるメタ分子を用いることで，素子の多波長動作を可能とする原理を提案した.提案した原理に基づいて試作された高さ，周期がともに720nmのナノロッドアレイからなるレンズ（開口数0.46）は，2波長において同じ焦点距離を示し，集光効率はそれぞれ65%(1550 nm)おょび22% (915 nm)であった.（図4，文献39）