種の問題における理想と現実

摘要

とは何か，ということをめぐっては膨大な議論があり，ある総説によると現代における種概念の定義というのは30近くあるという一　 本号の直海氏の論文には，そうしたことをめぐる論議と批判が詳細に紹介されているが，どの種概念をとってもすべての種（と考えられるもの）を定義しつくせないということは，まさに直海氏の言うところの「種とは便宜的単位」という，定義と実態に対するやや同義反復めいた，というか逆説めいた言明しか成り立たないのだろう.