日本における植物遺存種について

摘要

遺存種（relic species）というカテゴリーはd般用語ではあるが，厳密には，ある特定地域に限定された分布·生育の場を有するような植物の種を，一般的に指している．少し広い意味では，ある特定の生育地にのみ限定された分布をもつ，いわゆる固有種（endemic species）や，かつてはやや広い地理的，生態的分布域を維持していたが，環境の変化，とりわけ人為による環境撹乱や，森林を伐採し農耕地にしたり，市街地と化してしまったために本来の生育地を失い，今日では極めて限定的な分布域を維持し，辛うじて集団が残されているような樹木種を含めて，遺存種と呼ぶこともある．