透過型電子顕微鏡法と第一原理計算の連携による固体電解質および電極活物質における固固界面の原子構造とLiイオンの移動機構の解析

摘要

Liイオン二次電池はスマートフォン，タブレット端末，ノートパソコン等のモバイル機器の電源として現在広く用いられている．最近ではさまざまな電動器具のケーブルレス化のためにも採用され，その用途はさらに増加傾向にある．いずれの搭載機器についても，バッテリー容量や高出力というのは消費者の機種選定における一つの重要な指標である．特に最近では自動車，鉄道，飛行機等の社会インフラにおける移動体の電源としての利用が本格化しており，一部の電気自動車，ハイブリッド電気自動車ではLiイオン二次電池が移動体の動力源として用いられている．しかし，自動車等の動力源として考えると，現行のLiイオン二次電池の性能はまだ十分に満足できるものではなく，安全性，電池容量，そして出力密度の向上等，更なる性能の向上が求められている．これらの課題を克服する方法の一つとして，現在，全固体Liイオン二次電池が提案され，国際的な開発競争が行われている．