公園池の水質保全のための新たな考え

摘要

水の存在は人々に安らぎを与える。 これは，本来,生きていくうえで欠かすことのできない水が近くにあるという安心感から生まれているのかもしれない。 そのため，人々の憩いの場である公園に池がつくられるのだろう。 しかしながら，多くの公園の池は濁っており，浅い池の底が見えな高状態になっている。 これでは憩いの場としての他の役割を大きく損ねることになる。 これは池が富栄養化した結果である。 富栄養化は湖沼で1960～1970年代に大きな環境問題となった。 その間題解決のためさまざまな努力がなされてきたが，これはいまになっても湖沼水環境におけるもっとも大きな問題となっている。 富栄養化は，さまざまな人間活動に伴い湖沼水中の窒素やリンの濃度が上昇し,それに伴い植物プランクトン量が増加した（つまり有機物量が増加した）のが原因である。 したがって，湖沼水中の窒素·リン濃度を下げることが問題を解決するためのもつとも重要で基本的な課題である。 そのため，下水処理場をつくるなど，大きなエネルギーと費用を投じて浄化対策を行ってきた。 しかし，その対策も顕著な効果を産み出すには至っていないところが多い。