艾炷点火技法の基礎的検討?艾炷点火時の線香直下温度の観察?

摘要

【目的】艾炷点火時の線香保持角度や線香直径が、線香直下温度に与える影響を調査し た。【方法】ベニァ板上に設置した温度センサの測定端子面に木製艾炷模型を接着し、直径4mm (菊寿堂製、灸用線香）と2mm (日本香堂製、山水香）の線香を用いた模擬点火を 行い、点火時における線香直下温度を測定した。木製の艾炷模型は米粒大（高さ5mm) と半米粒大（高さ3mm)の二種類とした。線香直径、線香保持角度（0° 、15° 、 45° ), 艾炷の大きさの3条件を変え、各模擬点火における線香直下温度を0.2秒間隔で3秒間測 定した。【結果】米粒大、半米粒大の模擬点火において、半米粒大点火のほうが米粒大と比べ線 香直下温度が高くなる傾向がみられた（P〈0.001)。また直径4mmの線香の方が2mmの線 香と比べ、有意に高温となることが確認された（P<0.001)。線香保持角度の違いによる 温度差は、直径4mmの線香を用いた半米粒大の点火でのみ有意差が確認され（Pく0.001)、 点火時の線香保持角度が水平に近いほど、線香直下温度が短時間で高温になる傾向が確 認された。【考察と結語】透熱灸点火の際、輻射熱による熱感を与えにくい点火を行うための道具 としては細い線香が良いと考えられるが、安全面を考慮すると折れにくい太い線香を選 択することが望ましいと考えられた。太い線香によって引き起こされる線香直下の温度 上昇は、施灸面に対する角度を調整することで抑制することが可能であることがわかつ た。