子宮内膜増殖症に対する緘灸治療の一症例

摘要

【緒言】子宮内膜増殖症で経過観察中の患者に6年間の緘灸治療を行ったので報告する。 【症例】46歳女性[主訴]子宮内膜増殖症[随伴症状]頸肩こり、腰痛、冷え、不正性 器出血[現病歴]X年9月（46歳）、子宮内膜腺細胞診で子宮全摘出を勧告されたが子宮 温存を選択し経過観察治療と並行して緘灸治療を開始した。[随伴症状]後頸部、背部、 腰部に圧痛、下腿の冷え[治療方法]随伴症状の緩解を目的とした铖灸治療を週1.2回 の頻度で行った。治療例を以下に示す。置緘15分：足三里（ST36)、三陰交（SP6)、漏谷（SP7)、地機（SP8)、陰陵泉（SP9)、百 会（GV20)、曲池（LI11)、太衝(LV3)、太渓（KI3)、復溜（KI7)、中封（LR4)、施灸： 三陰交（SP6)、仙骨部第11?12胸髄、及び第1? 2腰髄のデルマ卜一厶上経穴脾兪 (BL20)、腎兪(BL23X天枢（ST25)、関元（CV4)など【経過】子宮内膜搔把術とMPA療法を経て、X +1年10月にクラスII、 X + 2年1月にクラ スIとなり、X+6年9月閉経によりMPA療法を終了した。閉経までの細胞診、腫瘍マーカー 値、子宮内膜厚、エストラジオ一ル値は正常に保たれていた。【考察，結語】患者は疾患に対して常に不安感ゃ鬱積を抱えていたが、体調の回復を実 感できる緘灸治療に高い満足度を示していた。緘灸治療が子宮内膜増殖症を直接的に根 治することは難しいが、医療を継続する間の身体的あるいは精神的な支えになった可能 性が考えられる。