公立八女総合病院における在宅輸血の体制構築

摘要

最近，在宅診療の推進に伴い輸血も在宅で行う方向にある.公立八女総合病院では，同系列の緩和病院と，訪問看護ステーシヨンの3者が医療連携して在宅輸血の体制を構築した.2014年11月，系列病院間で準備会を設置し，在宅輸血の適応，説明と同意の取得，使用する血液製剤と使用量， 輸血検査と血液製剤の準備，自宅への血液製剤の搬送方法，輸血当日の業務，副作用発生時の対応，輸血前後感染症 の対応，輸血手技料'使用血液製剤費用請求など，在宅輸血の運用を定め，関係者に輸血実施の勉強会を行った.2015年5月?2017年2月に，5例の患者に延べ20回の在宅輸血を計画し18回実施した.これらの患者に輸血副 作用はなく， QOLの改善が得られた.患者の病態悪化により予定輸血の中止が1回，血液搬送中の病態急変で輸血 に至らず，血液が廃棄されたことが1回あった.輸血後感染症検査ができたのは1例のみであった.在宅輸血では，患者の急変や関係者の人的負担など課題はあるが，総合病院との医療連携で検査体制や製剤管理に 関する課題が解決できた.地域で同様の体制を構築できれば，安全な在宅輸血が可能になると考える.