副腎皮質ステロイド薬で治療されていたAIDS合併カリニ肺炎の1例と考察

摘要

症例は25歳の男性。 発熱,労作時息切れ,乾性咳嗽を主訴に近医を受診し,過敏性肺臓炎が疑われ,メチルプレドニゾロンのパルス療法を含む副腎皮質ステロイドホルモン薬による治療が行われた。 臨床症状,画像所見は一時的に改善したが,微熱が持続するため当科に転院してきた。 胸部X線写真では,びまh性スリガラス状陰影が認められ,胸部CTで多発性嚢胞陰影が認められた。 経気管支肺生検組織と気管支肺胞洗浄液からPneumocystis carinii原虫が認められた。 末梢血CD4リンパ球数は30/mulと著しく減少し,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗体陽性でWestern-blot法でも確認され,AIDSに合併したPneumocystis carinii肺炎と診断した。 若年者に画像上,びまh性スリガラス状陰影が認められた場合,まずHIV感染症に伴うカリニ肺炎を考慮する必要がある。