抗カルジオリピン抗体陽性不育症に対する蒼北柴苓湯ならびに白光柴苓湯の随証療法による抗力ルジオリピン抗体量低下作用

摘要

26例の抗cardiolipine抗体（以下ACA）陽性不育症に対して蒼北柴苓湯（ツムラ社）と白光柴苓湯（クラシエ社）の随証柴苓湯療法を行い，ACA量減少作用を指標に病名投与との効能差を検討した。 蒼北柴苓湯の適応は「実」，非「裏実」．非「気虚」とし，白花柴苓湯は「虚」，「裏寒」．「気虚」とした。香北柴苓湯のACA低下率は75.0％で病名投与の64．7％より高率であった。 白光柴苓湯は92．9%で蒼煎柴苓湯無効病名投与例の91．7％より高率であった。 蒼就柴答湯によるACA量の減少は有意ではなかったが，白花柴苓湯は有意（P＝0．032）であった。 また，蒼北柴苓湯無効例3例はその後の白朮柴苓湯療法によってACA量は減少した。 以上より，随証療法によって蒼北柴苓湯，白花柴苓湯ともにACA低下作用は向上する。 蒼朮柴苓湯は随証療法が必要だが，白光柴苓湯は病名投与でも十分な有効性が確保できるという結果が得られた.白朮柴谷湯の効能の優位は蒼朮に対する白朮の薬理学的優位だけでなく，五苓散生薬含有量が多いことも関係していると推察された。