術前検査にて食道扁平上皮癌と診断された食道原発小細胞癌の内視鏡所見と病理組織学的特徴

摘要

1982年から2002年までの食道癌切除例404例中，食道原発小細胞癌は6例（約1.5％）で，その6例中5例の術前診断は食道扁平上皮癌であった．その原因を臨床病理学的に検討し，鑑別診断に有効な抗体を検索した．結果：食道小細胞癌は全例隆起性病変を伴っていた．術前内視鏡検査で，3例は併存する食道扁平上皮癌の部分のみが生検され，2例は食道小細胞癌を低分化型扁平上皮癌と診断された．免疫染色にてNCAM（CD56），NSEが小細胞癌で特異的に陽性を示した．結論：隆起性病変を伴う食道癌の術前内視鏡検査では食道小細胞癌の可能性をふまえて生検，診断する必要がある．鑑別診断には，NCAM，NSEが有用である