癌手術患者の術後転帰に年齢の因子が及ぼす影響に関する検討

摘要

癌手術患者の術後転帰に年齢の因子が及ぼす影響について検討するために,栃木県立がhセンターにおいて,1993～1996年の間に原発性悪性腫瘍により,全身麻酔で手術を受けた症例1,795例を対象にレトロスペクティブに検討を行った.術後入院期間と生存期間を指標として,年齢,Physicalstatus,手術部位,術前合併症,疾患の進行度,手術の完成度を因子として検討した.また,70歳以上の患者と70歳未満の患者で,術死症例数と荏院死亡症例の比較を行った.その結果,年齢の因子よりも,術前合併症や疾患の進行度,手術の完成度の万が予後に有意に関与していた.70歳以上の患者では,術死症例で他病死による死亡率が70歳未満の患者より有意に高かった.高齢者では,術直後に重篤な合併症の起こる可能性があり注意が必要であるが,急性期を脱すれば高齢者でも若年者と同程度の予後が期待できると推察された.