移植後リンパ増殖症（PTLD）の病理

摘要

移植後免疫不全状態を反映して，EBウイルスの再活性化などにより起こるリンパ増殖症が，移植後リンパ増殖症（post－transplant lymphoproliftrative disorders：PTLD）である。大部分はB細胞由来であり，EBV－associated B-Cell lymphoproliftrative disorders（EBV－BLPD）と呼ばれてきたが，EBV陰性症例や，T細胞やNK細胞由来の症例も含め，PTLDと総称する。予後不良な疾患であったが，EBVのウイルス量がモニタリング可能になり，また抗CD20抗体（rituximab）が有効であることから，近年はその治療成績は良好である。PTLDの病理は，その発症機序に免疫不全が介在し，腫瘍様病態を呈するリンパ増殖症であり，EBV関連リンパ腫の病態を考えるうえでも重要な疾患群である。本稿では，主として造血幹細胞移植後（SCT）に発症するPTLDの病理を，その初期像から進展期の病態まで解説する。