うつ病患者2症例におけるミルタザピン投与後の睡眠に及ぼす急性効果一主観的および客観的睡眠指標を用いた評価一

摘要

抄録：うつ病患者2症例に対して，ミルタザピンを投与し，ハミルトンうつ病評価尺度 (HAM-D)の睡眠関連項目（入眠障害，熟睡障害，早朝覚醒）による主観的睡眠評価と睡眠 ポリグラフ検査(polysomnography; PSG)による客観的睡眠評価を経時的に行い，ミルタ ザピンがうつ病患者の睡眠に及ぼす急性効果を検討した。不眠が著しく，トリァゾラム 0.25 mgの内服にてもPSGでの総睡眠時間が3.5時間と短縮していた症例では，ミルタザ ピン30mg/日投与により2週後には5.4時間，4週後には6.7時間と総睡眠時間が劇的に増 加し，主観的睡眠評価とうつ病症状も顕著に改善した。また中程度の睡眠障害を認めた薬 剤未内服の1例でも，ミルタザピン15mg/日の投与により2週後，4週後にはPSGでの総 睡眠時間が約1時間延長し，主観的睡眠評価とうつ病症状も改善した。今回の2症例にお ける急性期の検討では，ミルタザピンはうつ病患者の睡眠を客観的にも主観的にも著しく 改善させた。