安成哲三:地球気候学

摘要

本書は,現在の我が国気象?気候学界の第一人者である安成哲三総合地球環境学研究所長(筑波大学名誉教授/名古屋大学名誉教授)が構想十数年の歳月をかけて著した地球的視野での新しい気候学の教科書である.我が国の気候学は,福并英一郎東京教育大学名誉教授にょって確立され,吉野正敏筑波大学名誉教授にょり発展されてきた系譜を持ち,福井英一郎(1938)『気候学』古今書院,吉野正敏(1978) 『気候学』大明堂は,両者が長年の歳月をかけて世に出した体系立った気候学の教科書であり,それぞれ,我が国における気候学発展の原動力となった.吉野教授の後を継いで筑波大学教授となった著者が,「地球温暖化」問題関連等で気象学的にも重要性が増してきた気候学の,吉野『気候学』に代わる新しい教科書を構想するのは自然の流れであったが,吉野教授の逝去から一年弱経た2018年5月,ょうやく本書が上梓された.喜ばしい限りである.