原油相場の行方－新興国経済が原油価格や株価に影響

摘要

二〇一六年の年初から一段安の展開となった原油相場は、足元で持ち直しの兆しを見せ始めている。本論を執筆している四月下旬時点では、WTI、ブレントともに一ルバレ=四〇ドルを上回る水準で推移しており、水準としては依然「原油安」が続いていると言えるが、市場には原油相場がすでに上昇トレンドに転じたのではないかという見方も増え始めている。一時は三〇ドル以下まで下落した原油相場が、なぜ反転したのか。また、その持続性をどのように考えればよいのか。本稿では、互いの影響が強まったと指摘される金融市場との関係にも触れながら、今年に入ってからの原油相場を振り返り、今後を展望するためのポイントを整理したい。