日本の高レべル放射性廃棄物処分計画の現状と課題を考察する

摘要

原子力発電を利用すると、発電量に比例して、核分裂生成物や超ウラン核種などの放射性物質を含む高レベル放射性廃棄物（HLW）が発生する。このHLWに関しては、将来世代に負担を先送りしないよぅ、現世代の責任で処分する必要があり、そのためには地層処分が最適の処分方法であるといぅのが、長年の研究成果を踏まえた国際的に共通の考え方である。わが国でも一九七〇年代より地層処分に重点をおき、核燃料サィクル開発機構（現日本原子力研究開発機構）を中心に研究開発が進められ、地震や噴火が頻発する変動帯にある日本列島においても、地層処分が科学的および技術的に考えて十分に成立性があることが認められ、二〇〇〇年に、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」（最終処分法）が制定され、処分実施主体となる原子力発電環境整備機構（NUMO）が設立された。この法律では、三段階の処分地選定調査（文献調査、概要調査、精密調査）を経て最終処分施設建設地を決定する処分地選定プロセスその他の仕組みが整備され、これによって、国、NUMO、電力事業者等関係者が相互に連携しながら最終処分に向けた取組を推進していく体制が整備された。